双極性障害(そうきょくせいしょうがい)とは、気持ちが落ち込む「うつ状態」と、ハイテンションで活動的な「躁状態」を繰り返す症状です。以前は「躁うつ病」の名で知られていましたが、両極端な病状が起こることから現在では「双極性障害」と呼んでいます。
双極性障害は「躁状態」が強い「双極Ⅰ型」と、軽い「双極II型」があります。「双極Ⅰ型」は、かなりアグレッシブで、極端に落ち着きがなくなったり、眠らず動き続けたり、家族や周囲に対して怒りっぽくなったり、高価な商品を衝動買いしたりします。「双極II型」は「双極Ⅰ型」のそれと比較するとそこまでではないものの、それでも明らかに少々行きすぎた感じに見えるでしょう。そして「双極I型」も「双極II型」のどちらも自分が躁状態である自覚がなく、周囲を困らせたり、振り回したりすることになります。さらに、こうした状態で「うつ状態」に移行すると極端な自責の念などから自殺に至ってしまうケースもあるので注意が必要です。
なお「ファウスト」や「若きウェルテルの悩み」などの数々の名作を残したドイツの文豪ゲーテは、何もしない(できない)6年間と活動的な1、2年を繰り返す生活をしていたことから、実は双極性障害だったといわれています。一般的に天才と呼ばれる人は、感情の揺れ動きが大きいことも多く、潜在的に双極性障害の要素を持っているという説もあります。
双極性障害の人が不調を感じるときは、主に「うつ状態」のときなので、診療時に「躁状態」を正しく伝えられないと「うつ病」と診断されてしまい、「双極性障害」であることが見逃されてしまう場合もあります。ひょっとして自分はうつ病ではないかと思った時は、周囲の人に躁状態が見られないかを確認しておくとよいでしょう。
双極性障害(躁うつ病)の主な症状やサイン
・「ワガママ」や「イライラ」と落ち込みを繰り返す
・金遣いが荒くなる
・自分が偉大になったように感じる
・後で困ったことになるのがわかっていながら好きなことをやってしまう
・じっとしていられない
・色々な考えが頭に浮かぶ
・短い睡眠時間でも平気になる
上記の症状が長期に渡って感じられるようでしたら、医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。