統合失調症(とうごうしっちょうしょう)とは、幻覚や妄想、意欲や感情表現の低下などが見られ、考えがまとまらなくなる病気です。以前は「精神分裂病」の名で知られていましたが、病名の不適切さなどが考慮され、現在では「統合失調症」と呼ばれています。
なお厚生労働省の発表によると、日本における統合失調症の患者数は約80万人。この数字はおよそ100人に1人弱が発症する計算になるため、統合失調症は身近な病気と言えます。
統合失調症の患者さんは幻覚や妄想などで苦しんでいます。幻覚は聴覚に関するものが多く「おまえは無能だ!」「いま出社したようだ」「この角を曲がれ」など、批判、監視、命令といった傾向が主となります。
さらに人によっては幻覚と対話しているためブツブツと独り言を口にすることも少なくありません。また一方で妄想は「何者かが尾行している」、「会社には敵が潜んでいて自分を狙っている」といった被害的な妄想が中心で、それらに根拠がないことを周りが伝えようとしても耳を貸そうとしません。
こうした幻覚や妄想がひどくなってくると、仕事や学習能力の低下、ひきこもり、喜怒哀楽の欠乏、周囲への無関心といった症状も見られるようになり、社会や家族との間の溝が深くなっていくことになりかねません。本人は「わかってもらえない」という大きな悩みを抱えているわけですから、家族はそのつらさを理解して接することが重要になります。
統合失調症の主な症状やサイン
・ぶつぶつと独り言をいっている
・命令する声が聞こえる
・監視されている/いじめられているというが実際にはなにもない
・話にまとまりがなく、何が言いたいのかわからない
・人が話す内容が理解できない
・表情や仕草、適切な感情表現が乏しくなる
・会話への共感性に欠け、話している相手への親近感や関心もない
・会話が自発的でなかったり、会話の流れが滞る
上記の症状が長期に渡って感じられるようでしたら、医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。